グローカルメッセージ by卒業生

グローカルメッセージ by卒業生 VOL.1

「限界を決めず、何事にも挑戦を」

NGO Future Code代表・医師 大類 隼人氏(平成11年卒)

様々なことに取り組んだ関倉時代

 私が関西大倉高校に入学したのは17年前の事でした。当事の私は、いろいろなことに興味を持っており、日本の伝統のある競技を何かやりたいと思い立ち、剣道を始めようと決めました。しかしながら本当にひとつの事にも集中できなかったような時代であり、元々楽器をしていたこともあって友人とロックバンドの活動にあけくれ、勉強より趣味と興味を追求しておりました。
 当然の如く成績も振るわず、今思い返しても、誰がどう見ても決して私は褒められた学生ではなかったと残念ながら断言できます。
 卒業後、私は一年の予備校生活を余儀なく経験しましたが、この年の後半にようやく少しの危機感を感じ、その後になんとか兵庫医科大学医学部に進学。大学時代は医学に興味を持てた事もあって勉強には真面目に取り組みつつも、音楽に剣道にとクラブ活動で忙しい毎日でした。卒業後は外科医、救命救急医として勤務し、医療人として生きる中でも本質は変わらずいろいろなことに興味はあったものの、時間・体力・気力に余裕も持てず目の前の事に必死で生きていた日々でした。

人生の転機

 しかしそんな中、東日本震災が起こり、ここに私も大きな転機を迎えることになります。医師として日本のためにすぐに行動しなければという想いに駆られ、私は緊急医療チームの一人として現場に入ります。そこで見た現実は、私を変えていきました。そこから私は日本だけでなく世界の多くの災害や被災地の事を自然と考えるようになり、その後も医療チームとして途上国でも災害後の緊急医療活動を経験します。活動の中で、様々な現実に出会い、自分が心からやりたいと思う「生き方」を考えました。
 私は昔から一度決めるとすぐさま行動せずにはいられません。それから間もなく日本で医師を辞め、自ら途上国での医療支援活動を目的とした団体、特定非営利活動法人Future Codeを創設し、現在ではハイチやバングラデシュなどを中心に、開発途上国で人材育成や医療支援活動を自分の人生の仕事と決め、活動を続けております。

開発途上国での活動で学ぶこと

 なぜこのように大きく生き方を変えてまで途上国でこのような活動をしようと思ったのか、と不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。この仕事の中で途上国から、そして改めて日本からも教えられたことがあります。それは名誉のとり方でもお金の稼ぎ方でもなく、自らが人間をどれだけ好きになり、人間を大切にし、人間らしく生きるという幸せでした。活動の中では、日本からは想像も出来ない現実に打ちのめされることは数多くあります。しかしそこに生きる人々は皆、純粋にそれぞれの「今」を苦しい環境の中であっても笑顔絶やさず生き、その生き様は純粋で強く美しくもあり、それまでの自分の幸せの価値観など、この世界には初めからどこにも存在していないかのようでした。国境や宗教を越えて文化を共有し、例え小さな事であっても、苦しい中でも人々と共に何かを成し得ることの喜びは私にとって大きいものでした。これこそ自分が望んだ自分の幸せな生き方なのだと、私は今も思うことができているわけです。

今も息づく関倉時代の経験

 今、少し高校時代を振り返ってみたときに、何か少し型破りな事でも信じられることがあるなら、そのための決断と行動を恐れない生き方をしたいなあと憧れていた時代でもありました。今でもそれは目下努力中ではありますが、つまりそういう今の自分の根っこは高校時代に由来するようなのです。それに加えて偶然か必然か、苦しい時にいつも自分を助けてくれたのは、高校時代に始めた剣道、その後大学でも続けて学んだ剣士としての精神でもありました。
 日本を離れて仕事を続ける中で、より仕事に生きる学問を学ぶ必要を感じ、一旦仕事を離れ英国リーズ大学の大学院に受験し、進学することにしたのですが、その際に受験に高校の卒業証明などが必要となり、関西大倉高校を訪れたときがありました。まったく人の出会いとは未来にどう作用するかわからないものです。今では私も途上国で医療者を教育していく立場でもあり、先生方には今だからこそ改めて教わることが多くありました。温故知新、当時いただいた先生方からのお言葉も、真剣に取り組んだ過去の経験も、必ず新たなものとして未来に返ってくるという先人の言葉の正しさが私の中で証明されたわけです。
 母校は、今でも私に学ぶ場を与えてくれています。関西大倉高校という環境の中で生まれた自分の小さな変化は、今でも自分に生き続けているようです。

みなさんへのメッセージ

学生の皆様はきっとそれぞれに充実した高校生活を過ごしておられることと思います。ぜひ多くに興味を持たれて取り組んでいただき、多くを経験していただきたいと思います。そして限界を決めず何事にも挑戦する心を大切に、高校生活を謳歌していただきたいと願っております。