グローカルメッセージ by卒業生

グローカルメッセージ by卒業生 VOL.2

本気で物事に取り組むことが、大きな力に

米国エアライン(UA)B777機長 山田榮一氏(昭和54年卒)

きっかけは学校説明会
緑豊かで充実した環境に入学を決意

 私と関西大倉高等学校との出会いは、中学3年生の時に開催された学校説明会でした。それまで私は都部の公立高校を受験することを考えておりましたので、正直なところ私立高校については情報をなんら把握しておりませんでした。そんな折、関西大倉高等学校の学校説明会で校内をつぶさに見学させていただき、『こんな素晴らしい環境にあり、設備の整った高校があるのだなあ』と感じました。その後も、グランドでいきいきと部活をしている学生や柔道・剣道場で真剣に武道に取り組む学生、それまで見た事のなかったアーチェリー場、本格的な実験に取り組める実験室や静寂な緑と新鮮な空気に包まれた校舎などの印象は深く心に残り、それは自分が進学し青春の一時期を過ごす学校に対する思いや価値観を大きく変えることになりました。高校入試が始まり、当初から考えていた公立高校と関西大倉高等学校の両方を受験し共に合格しましたが、先の思いから関西大倉に入学することを決意しました。

在学中の様々な出会いや体験で広がった視野

 3年間の在学中に、その後の人生の礎になる教養はもとより様々な体験や出会い、多くの感慨深い思い出を創らせていただきました。私は、小学校・中学校卒業までの間、いわゆるサラリーマン世帯の多いマンモス新興住宅地に育ち、学びや遊びもその地域を出ることがありませんでした。ところが、関西大倉に入学してみると狭い学区を越えて、大阪市内はもとより他府県から通う学生や、親が実業家、医師、自営業etc. といった様々な職業の家庭に育った学生と出会い、それまでの環境につちかわれた狭い視野が一気に広がったことや、それぞれの個性を認め合うことの重要性を感じました。

先生の背中に学んだ、信念を貫く心の強さ

 高校2年生の時に鳥取県東浜海岸で臨海学習があり、夕暮れの浜辺に召集がかかりました。体育座りで整列した我々学生に、担任の数学の先生が和太鼓を打ち鳴らしながら、ドイツ語で歌を歌い聴かせてくれました。血気盛んな男子高校生には似つかわしくない厳粛なその歌声を聴きながら『いったい何が始まったのか?』と戸惑い、笑い出す者や頭をうなだれる者などいましたが、それでも先生は歌い続けられていました。我々学生のために額に汗しながら毅然と歌い続けて下さる先生に感動し、それまでの戸惑いの雰囲気から一転し、終演を迎える頃には手拍子や歓声が上がるほど盛り上がりました。普段の学校生活においても先生方はいつも毅然とした態度で我々に接しておられ、どの先生方も自らの学問を深く探究された方々が多く、これらの先生から得た印象は『変わった先生だなあ』と当時は思うこともありました。しかし、私が大学、社会人と成長していくなか、その場の瞬間的な周囲の人の評価を気にせず、自分の信念を貫く心の強さとその人生観の素晴らしさを学ぶ礎になりました。高校生時代に、確固たる信念を持たれた先生方や、自分自身の個性を生かして真剣にクラブ活動に取り組む友人、大学受験に邁進する友人など幅広い人たちとの出会いに恵まれたことが、私自身に求められたグローバル社会を生き抜くために欠かせない、多彩な環境や人々との出会いにおいて互いの豊かな個性を尊重し、また自分の価値観に基づき何かひとつの軸だけで、人や物事を評価し優劣を決め付けることのない大局的な見地と局所的な対処方法の両方をしっかりとバランスとり対応するという思考をもつことの基点となったと思います。

卒業後も様々な経験を重ね、『生き抜く力』を磨く

 私は米国カリフォルニア州立大学および航空大学を経て現在、外資エアラインの機長として勤務するかたわら、パイロット養成機関の教官長として多くの若者に操縦技術を教えさせていただいております。現在の職場に至るまで多彩な職歴を経て参りました。(米国内国内線パイロット→国内大手商社→国内大手英語学校校長→会社経営→国内エアラインパイロット飛行教官→米国エアラインパイロットおよび教官兼任)一見煩雑と思えるこれらの経験は私にとって何一つ無駄な経験ではありませんでした。現在の職場においては、多様な専門知識や職歴をもつ多彩な人種の同僚、パイロット養成機関においては30歳も年下の男女航空訓練生に囲まれ、まさにグローバル社会で生きる力が求められており、私もまだまだ『生き抜く力』をみがき、視点を変えてより視野を広げるよう日々心がけています。

みなさんへのメッセージ

 若輩者の私ですが、学生の皆さんにメッセージを送らせていただくとすれば、「本気で物事に取組む」ということです。それは受験勉強であれ、スポーツであれ、趣味であれ、何であっても大いに結構です。それらがもたらす結果に対する第三者からの一時的な評価など心配することなく突き進んで下さい。そのプロセスが後々の人生に大いに役立ちます。何らかのプロセスを完結した経験こそ、大所高所から様々な物事を見られるようになり、今後も加速するグローバル化、情報化による錯綜する社会においても、それぞれの豊かな個性を認め合い、幸福感を感じられる人生を送っていただけると確信します。