京都大学高大連携 野生動物初歩実習活動報告
野外での活動にかわり、オンラインでの活動を行ってきました。全体実習のほか、希望した5つのテーマに分かれての活動です。中間発表を経て、いよいよ最終発表をむかえました。今まで学び、ディスカッションしてきた内容をまとめ、全員が発表しました。発表内容を簡単に紹介します。
最終発表会①7月26日(日)
最終発表会②8月2日(日)
「環境エンリッチメント・飼育下の幸せとは」
動物園などで飼育される動物が、人から見る姿だけでなく、生態を理解したうえで、いかにストレスなく、快適に過ごさせるか、また野生本来の姿をいかにして引き出すかを考え、動物の幸せと、来園したお客さんにも楽しんでもらう工夫を提案する。
自分たちが興味を持った動物について、自分たちなりに環境エンリッチメントを考えてました。
フラミンゴの環境エンリッチメントについて
(目標)飛ぶ姿や泳ぐ姿など、本来の「動く」姿が見られる飼育環境を作る
(環境づくり・フィーダーの工夫)
・1m深の水場で泳ぐ姿を見せる
・50m×15mの草地を作り、飛ぶ姿を見せる
・泥を入れて巣作りをさせる工夫を。
・フラミンゴフードの与え方の工夫(流れるプールや動くように見せるなど)
他に
リカオンのフィーダー導入(狩猟をイメージした餌の与え方)
ニホンザルのフィーダーの工夫で、行動を引き出すなど。(知育的な道具を作成)
「脳の仕組みと働きについて症例を用いて葉をまなぶ」
高次脳機能障害。神経心理学的な障害を考える。具体的に後頭葉、頭頂葉、側頭葉、前頭葉の働きを知り、具体的な障害の症例を通して深く脳の機能を理解する。
「霊長類の死生観について」
チンパンジーやゴリラなどの生態を詳しく学び、たくさんの論文を読む。その中で死生観や子殺しの事例を調べ、死に対するイメージをどうとらえているのかを考える。
チンパンジーの子殺し
・異常行動説…ストレスから?
・肉食目的説…タンパク質目的?
・性淘汰説…自分の遺伝子を残すため、他個体の子を殺して早く発情を促す?
死体を抱いて過ごすメス個体の事例、死体を食べてしまうオス個体の事例など
老齢個体の死をどうとらえているかの事例紹介
「身近で実は面白い鳥カラス」
日本で見られる種類や見分け方などの紹介。
カラスは鳥より霊長類に近い賢い存在。道具使用の例などの紹介。
貯食や社会関係(順位)など
カラスのねぐらでの情報交換について
「法・動物実験を考えようプロジェクト」
動物実験は悪いのかどうか。日本の法律を学び、そのうえで海外の法律との比較を行う。
動物愛護や保護・福祉の観点から日本の法律を考える。
日本の法律の曖昧さ。「できる限り」の言葉が使われていて、アメリカのように動物の定義がはっきりしていない。日本の動物実験は、企業や研究機関がガイドラインを決めていることが多く、抜けがあって裁けないこともある。動物実験に対する意識の低さが感じられる。
海外に比べて動物福祉や愛護を訴える団体の資金状況の少なさもあり、活動が盛んでない点があげられる。動物実験が必要な場合も、減らしていけるものがないか、考えていく余地は大きい。など。
関西大倉の生徒も、北野高校の生徒も素晴らしい発表ばかりで、興味深い楽しい時間となりました。
サポートしてくださった京都大学の学生の皆様、先生方に感謝いたします。
コロナウィルスの感染拡大で十分な活動ができないかもしれませんが、今後もよろしくお願い致します。関西大倉の参加生徒