今年は、日本だけにとどまらず、世界も新型コロナに翻弄された一年でしたが、いまだ終息の兆しもみえておりません。
イギリスでは変異したウィルスにより流行に歯止めがかからず、ロックダウンという都市封鎖が行われています。日本も感染の拡大がとどまることをしりません。
大阪府下の私立中学校で30人、高校では252人の感染が報告されています。府立高校でも130人近い生徒が感染しています。
本校では生徒の感染はありませんが、これも君たち生徒の皆さんの協力のおかげです。
ただ、いつ感染してもおかしくないギリギリのところですので、日々、マスクの着用、手洗いの徹底をお願いします。
月日は日々過ぎ去っていくものです。今年も残り10日足らず、来年の今頃は終息していることを願うばかりです。
話を変えて、少し明るい話題です。
天文学や星に興味のある人は、日没直後6時前に、地平線近くの南西の空を見てみてください。
裸眼で1.0あれば、雲がなければ、木星と土星が非常に近い距離で見えます。
400年ぶりだそうで、明るく光るのが木星、その近くで少し暗いのが土星だそうです。気が向いたら見てください。
さて、生徒の皆さん含め、私たち一人ひとりが、今後、いかに新型コロナウイルスと向き合っていくべきか、脳科学の林成之先生が書かれた提言を参考に話をします。
テロップを見てください。
人間にはもともと5つの欲求があります。
一年生以外の生徒の皆さんは見たことがあると思います。
今、見て貰っているものは、心理学者マズローの欲求段階説を図で表したもので、低い次元の欲求から高い次元の欲求まで5段階で欲求を表しています。
生きていく上で、必要なお腹が減ったら何か食べたいという生理的欲求から、こういうふうになりたいという自己実現の欲求まで5つあります。
図の真ん中に、安全の欲求や他者に受け入れられたいという親和の欲求、集団から自分が価値ある存在であると認められることを求める自我の欲求があります。
それらの中で、「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」「伝えたい」という欲求は、無意識に起こる本能であるのに対して、自分の理性に基づき熟慮して、深く考えた上で対応する組織由来のものもあります。
「安全を確認して自分を守る」
「正しい判断をし、みんなと一緒に生きていく」
「自分を認めてもらうため、物事を最後までやり抜く」
「違いを認め、違いの中から新しい発想を生み出す」
これら「安全を確認して自分を守る」「正しい判断をして皆と一緒に生きていく」という本能を働かせることで、無意識におこる「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」「伝えたい」という本能も自ずと満たされていくといわれています。
新型コロナウイルスには、この欲求の本能を働かせて対応することがとても重要であるといわれています。
例えば、「安全を確認して自分を守る」ためにはどうしたら良いですか。もう解っていると思います。
人の集まる場所へはできるだけ行かない。密を避ける。「正しい判断をして」、マスクをつける。アルコールで消毒する。バスや電車の窓を少し開けてみるといったふうに…。
いまはコロナ禍で、君たちの行動が制限されるため多くの人がストレスに晒され、気持ちが塞ぎがちになっています。些細なことから喧嘩になったり、口論になっていることはありませんか。マスクをきちんとせず、あごのところにしていませんか。コロナ禍においては、自分の身をまもらなくてはいけない、という不安感や恐怖感に襲われがちです、時には相手の立場に立って物事を捉える心の余裕を持つことが大切で、頭や脳をしっかりと働かせてイキイキと生活しなければなりません。考えて行動してください。何をするにつけても、「気持ちを込める」「相手を尊敬する。尊重する」ことで欲求の本能を満たしていくことが重要なのです。
今は、人と話をする時に気持ちを込めず、よそ見をしながら話す人を多く見かけます。また、かってに人のものを触ったりする。その他、挨拶しても、素知らぬ顔、顔をそらす、会釈もしない。それは相手に対する気持ちが薄らいでいるからであり、そうした態度では、「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」「伝えたい」といった人としての本能を満たすことはできません。
また、林先生は、こんなことも言われています。
一流人といわれる人に共通していることは、どんな相手に対しても、また、どんなことでも、決して手を抜かない、常に気持ちを込めて、懸命に取り組む人が一流人であると言われていました。
このコロナ禍で、ソーシャルディスタンス、人と人との距離をとることが求められていますが、ともすれば人との繋がりが薄くなりがちです。だからこそ、自分につながりのある、縁がある一人ひとり、心を込めて向き合うこと。そしてお互いを大切にし、相手を尊重し、力を合わせてこの試練を乗り越えることが大切です。
君たち生徒の皆さんにとって、縁ある人つながりがある人は誰でしょうか。
家族、親戚だけではありません。クラスの友達、クラブの先輩・後輩、学校に来校される方々や先生方です。
自分につながりがある、縁のある一人ひとりと心を込めて向き合う、向き合うことができる人こそ一流人といえます。
来年は一流人となるための一年にしましょう。
これから受験を迎える高三生の皆さん、睡眠を十分にとって、風邪などひかず、受験を突破してください。
以上で終業式の話を終わります。