新入生638名の迎え、体育館に生徒、ホールにおいては保護者各ご家庭1名、感染対策をお願いし入学式を行いました。
以下式辞を掲載させていただきます。
今から600年前、ペストの流行が、「文芸復興」といわれ、個性を花咲かせたルネサンスにつながりました。
新型コロナ禍の中、先行き不透明な時代を主体的に生きる強靱さを如何に身につけていくかが、問われているように思えます。
この主体的に生きる上で身につける必要があることを、19世紀後半のイギリスの哲学者ジェームズ・アレンは、その著書『「原因」と「結果」の法則』の中で次のように述べています。
「よきにつけ悪きにつけ心の中の「思い」が原因となり、健康や病気、成功や失敗、富や貧困、喜びや悲しみといった結果をもたらす。その心の「思い」がその人の人生に影響を与える」
「成功するには、気高い夢を見て目標をもち、単に成功したいと思うだけではなく、「自分はそれを達成できる」という信念をもって努力をしなければならない」
「心は、創造の達人。私たちは心であり、思いという道具をもちいて自分の人生を形づくり、その中で、さまざまな喜びや悲しみを、自ら生み出している。私たち人間は、心の中で考えたとおりの人間になる。
また、「自分こそが自分の人生の創り手である」「私たちの人生は、ある確かな法則にしたがって創られている」
以上です。
では、その人生の法則を主体的に創ることができるのは誰でしょうか。
唯一その法則を変えることができるのは、誰でしょうか。
それは、新入生君たち自身です。君たち自身がどう思い、どう志を立てていくか。
このジェームズ・アレンの考え方は、日本の実業界で活躍され起業された方々に共通しています。本校の前身関西商工で学ばれた松下幸之助氏、大阪大倉商業学校の創始者でもある大倉喜八郎翁、その知人でもありNHKの大河ドラマの主人公、新一万円札の肖像になる渋沢栄一氏など、現在でいえば、京セラを起業し、日本航空を再建した稲森和夫氏など。
「思い」「志」がその人の境遇をつくり、その人の運命をつくっていくのです。
ですから、
「自分は不幸な運命のもとに生まれた人間だ」と僻んだところで、何の意味もありません。
単に縁が無かっただけです。
人間の行動は、まず心に「思う」「フッと思った思いつき」そして「志を立てる」ことから始まります。人を目標に向かわせるパワーは、「自分はそれを達成するんだ」という信念から生まれます。「自分にはムリ」とか「どうせ駄目だから」など、すねた考え方をすると更なる逆境を招くことになりかねません。そう言った疑念や疑い、恐れはその信念にとって最大の敵です。不安をはねのけるには、ポジティブに進めること。自分の信念を強く信じ、信じる道を突き進むことが一番なのです。
高い思い、高い志をもち、自分を飛躍させて下さい。
「何がしたいか、何をやりたいか、何を身につけたいか、その為には、どのような力が必要か、それには大学はどこへいけば良いのか。
大学を出たら、どう人や社会に貢献するか、など」
そこから、「何としても成し遂げたい」という強い願い、思いによって信念にまで高められたものにしなければなりません。自分の運命を決めるのも、使命を帯びるのも君たちです。未来を信じ、自分を信じる。諦めないことが大切です。
高校生活三年間の第一歩の日です。
飛躍への第一歩を踏み出しましょう。
以上、関西大倉高等学校入学式式辞とさせていただきます。
2021(令和3)年四月八日
関西大倉高等学校 校長 古川 英明