若干肌寒さを感じる朝でしたが、今日も京都市動物園は大盛況です。開園を待つ人々で行列ができています。私は年間パスを持っていますが、学生アドバイザーの皆さんとの話に花が咲いてしまい、一緒に並ぶことにしました。大学で取り組んでいらっしゃる研究の話が非常に興味深く、その苦労話の一つとしてお話いただいた「データが上手くとれたので、8時間以上食事をとるのも我慢して張り付いた甲斐があった」という話には特に驚きました。寝食を忘れて没頭するとは、まさにこういうことなのだなと思いました。さて、無事に入園できた後は、いつも通り腕章をつけて観察スタートです。
今日の観察風景に行く前に少し。「園内の動物を他にも載せてほしい」と、在校生からリクエストがありましたので、少しだけ載せてみます。とりあえず、観察場所間を移動する際に一番見る機会の多い2羽を紹介します。
この2羽とは顔なじみです。いつも通り過ぎるたびに視線を向けてくれます。
(一枚目はシロフクロウ、二枚目はアナホリフクロウです。アナホリフクロウは地下に営巣する唯一のフクロウだそうです。他の動物の穴を奪うこともあるそうです。アナホリフクロウは昼行性ということですが、寒いせいなのでしょうか、あまり動いていません。)
では、本日もチンパンジーから。まずは、室内での学習実験です。たまたま人がいないこともあったのか、撮影しようとタブレットを向けるとチンパンジーがこちらにじっと視線を送ってきます。こちらが観察されているかのように感じて一瞬どきっとしましたが、すぐにチンパンジーは隣でじゃれ合う仲間たちに目線を移し、そちらをずっと見ていました。
外に出てからはいつものように観察です。観察している生徒に聞くと、「今日はグルーミングの行動が多いです。台に寝そべって、日光浴をずっとしている個体も見られます。研究が進みそうです。」と言われました。たしかに、観察を始めた頃に比べて、日向に出てゆっくりしているような時間が増えたように感じます。
(一枚目が後方のじゃれ合いに気をとられたチンパンジー、二枚目がグルーミング中のチンパンジーです。)
ゾウの観察グループは、いつも通りデータ収集にはげみます。ターゲット行動を明確に捉えて説明づけるのがやはり大変なようです。今日はゾウがほえたり水浴びしたりする時間が多く、観察しにくそうでした。また、たくさんの家族連れがゾウの水浴びを見ようとして、人だかりを作っていたため、きっといつも以上にデータ収集は大変だったと思います。お疲れ様でした。
(写真のように、2頭でじゃれあっています。片方がもう片方を水の中に沈めようとする行動には驚きました。寒いのに大丈夫なのかなと心配になります。鼻から水を噴き出す度に、周囲から歓声があがっていました。)
さて、最後にツキノワグマの観察です。「今日は臭いをつけていないホースですが、まったく反応を見せていません。」と実験に取り組んでいる生徒から報告がありました。それは狙い通りではあるのですが、常同行動が見られる時間も少ないため、なぜそうなっているのかを考えないといけないね、という話になりました。
ツキノワグマのデータについては今回でほぼ取り切ることができたようです。全体のデータ収集もそろそろ終盤に入り、今後は追加でデータ収集をしたい研究グループだけで観察を続けることになるようです。データ収集が終われば、今度はデータ分析と結果・考察を進めることになります。プリマーテス研究会の開催日が3/27(日)に決まったようなので、がんばってほしいと思います。
本日も京都市動物園の職員の皆様に、またジュニアアドバイザーの皆さんを始めとした京都大学霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院野生動物学初歩実習関係者の皆様に大変お世話になりました。有り難うございました。今後も宜しくお願い申し上げます。