人権講話を行いました。

2021/12/01

人権週間に因み、人権講話を行いました。

 今日の全校朝礼は、この夏にオリンピックやパラリンピックが開催されたこともあり、人権週間に因み、目に障がいをもたれている方について考えたいと思います。
さて、目が見えない方は、どうやって勉強しているのでしょう。
目が見えないので、目で文字を読み取る、絵や写真を見ることもできません。
方法としては2つです。
耳から聞きとることと、点字で表されたものを指先でなぞって読みとることです。

 今日は、指先でなぞる点字について短い時間ですが、触れてみたいと思います。
それでは、担任の先生方から配られた、両面刷りB4版の点字一覧表を出して見てください。


凸面用と凹面用が裏表両面にそれぞれ印刷されていると思います。 
凸面用は突起があるほうで読み取る時、凹面用はくぼんでいるほうで点字を作成する時に使います。
 凸面用を見てください。
点字一覧表と黒に白抜きで書かれている凸面用用紙の左上に五十音別のアイウエオが表記してあります。

「ア」を見てもらうと2列のハイフォンが縦に3つずつ2列全部で6つ並んでいますが、その2列の左上に黒●が1つついています。指先で読み取る時は6つのうち●のところが少し膨らんでおり、その●を指で触って確認をして「ア」と読み取ることになります。
反対に、裏面の凹面用を見てください。

点字を作成する時は、凹面用に従い作成しますので、「ア」は用紙の右上になっています。
右から左にアイウエオと並び、6つのハイフォンのうち、先程の凸面とは反対の右上に●凹みがくることになります。

では、もう一度裏返してください。

凸面用の一覧表を使って自分の名前を1文字ずつシャープペンシルでかまいませんので○で囲んでみてください。但し、名前を作成する時に気をつけてほしいことがあります。たとえば、「チュウガッコウ」や「コウトウガッコウ」のように「ウ」を使う場合は「長音府」「-」(横棒)を使います。「長音府」は一覧表の五十音の一番下にあります。また、五十音の横に「ガギグゲゴ」のような濁音・半濁音も印刷されていると思います。濁音・半濁音の場合は2マス使うことになります。
以上に注意して、自分の名前を○で囲んでみてください。

では次に、別途配布された少し厚手の紙、「かんさいおおくら ちゅ―がっこ―・こ―と―がっこ―」と点字とひらがなで書かれた用紙を出してください。

今、手にしているのは実際に点字に使用されているもので、目に障がいがある方が使われている用紙を3つに切ったものです。費用の都合で3つに切りました。用紙の一番下のところに7ミリ四方の枠が16マス印刷されていると思います。姓と名を1マス空けて、ひらがなで枠の上か下に自分の名前を書いてください。書き終わったら1マスに1文字ずつ自分の名前を黒●で記入してみてください。
 因みに私の名前「フルカワ ヒデアキ」を表すと今写っているようになります。
そして、別紙一覧表を使って自分の名前を、点字で表してみてください。

最後に、裏面の16マスだけ印刷されているほうを出してください。

16マスの下に右側から順に自分の名前を1マスずつ、枠の上でも下でもかまいませんので、姓と名を1マス空けて右から順に書いてください。
次に、自分の名前を右から順に1文字ずつ、点字で黒●の印をつけて下さい。
そして、シャープペンシルの先かボールペンの先を使って、その黒●を強くグーッと押し込んでみてください。僅かかもしれませんが、裏に突起が出ていると思います。「かんさいおおくら ちゅうがっこ-・こ-と-がっこ-」突起が出ていて指で何とか読みとることができると思いますが、自分の名前はどうでしょう。読み取れましたか。うまくいきましたか。

君たち生徒の皆さんは、教科書を持ち自分で教科書を読むことができます。では、今、ここにA5版の教科書があります。1ページにつき、1行34文字、30行で構成されている教科書があります。
1ページ34文字✕30行として、1ページ=1,020文字になります。また、その教科書は300ページで構成されているとします。
文字の総数は306,000文字です。これを点字で表すとしたら何ページになると思いますか。君たちの教科書には漢字も含まれていますよね。単純に漢字の表記をひらがな2文字とし、それに点字の濁音や半濁音は2文字分必要とします。また、手元に配られた点字の紙の質にしても教科書のものよりも倍位厚いのはわかると思います。
とすると、目に障がいがある人の教科書はどれくらいの厚さになるでしょうか。
ちょっと考えてみてください。 

1冊の教科書は約1m位になります。

【まとめ】 
 今、君たちは、教室でプロジェクターの画面を見ていると思いますが、目の見えない人に、君たちが見ている画面をどのように伝えますか。あるいはどのように伝えようとしますか。
 IBMというアメリカのコンピュータの会社があります。聞いたことがあると思います。
IBMは、アメリカの大手IT企業の一つで、コンピュータ業界の世界的な巨大企業の一つです。
主な事業は業務用のコンピュータや関連機器、ソフトウェア、サービスの販売など。本社はアメリカ・ニューヨーク州アーモンクで、世界170ヶ国以上に進出する多国籍企業としても知られています。
たとえば、ホームページを声で読み上げるソフトウェアの開発は、PCやインターネットを通して、視覚に障がいがある人にさまざまな情報へのアクセスを可能にしました。
その技術は、道案内をする音声ナビゲーション・システムなど色々な方面に応用され、視覚に障がいがある人のみならず、高齢者や外国からの旅行者など多くの人に役立っています。
 その研究・開発チームが取り組むのは、視覚障がい者の目となり耳となって支援を行うスーツケース型のAIロボットなのです。その開発チームを率いるのはIBMフェローで、カーネギー・メロン大学客員教授の浅川智恵子さんです。

浅川智恵子さんは全盲のフェローいわゆる研究員です。
浅川さんは、IBMに目の見えない人のためのプログラムを開発したいと上司に話しました。当時、IBMは「マーケットが小さすぎる」と「駄目だ」と拒否したそうです。それでも、彼女は目が見えない人のための音声インターフェース、ホームページなど声で読み上げるソフトウェアの開発を進め、結果として、PCやインターネットを通して、視覚障がい者にさまざまな情報へのアクセスを可能にしました。視覚障がい者だけでなく、高齢者などにも使い勝手のよいものだとわかったそうで、小さいマーケットしかないと思われたものが、実は多くのユーザーにとって使いやすい汎用性を持っていたのです。浅川さんは、自分の視覚障がいを「ハンデではなく、個性だと思っています」と語られています。

人はみんな違って当たり前だと考えれば、全盲という一見不便でマイナスなものと思われがちな特質も「個性」となって、それを生かす道が開けてきます。そのような個性を尊重し、「人はみんな違うことを否定しない」という発想があれば、社会には多様性が生まれ、そこから新しいものが生まれてきます。

今日作成した、点字の用紙は机の前にでも飾っておいてください。

これで、人権講話を終わります。