「野生動物学初歩実習」活動報告⑨

2022/2/03

 1/29(土)に、本校生と北野高校生との合同研究を、第 62回日本動物園水族館教育研究会(web大会)(日本動物園水族館教育研究会HP : https://jzae.jp/)で発表しました。本来の野生動物学初歩実習のプログラムではないのですが、今年度の生徒については以前に実施したアンケート調査のデータを元に、ポスター発表の機会をいただけることになったためです。大会はwebでの発表だったため、生徒たちは学校のPC教室から参加することになりました。
 さて、学会は9時から始まります。私自身の参加した感想としては、これまで詳しく知らない分野でしたが、非常に楽しい内容だったと思います。興味深い内容が多く勉強になったと同時に、新しい発見もあった会でした。会全体を通してSDGsに関連した話題が多く、今後園館(動物園水族館)を、SDGs教育を担う拠点の一つにしていこうとする方向性が示されていたように感じました。

 
 
 基調講演では、あと数十年もすれば、生物の3割から4割が絶滅する可能性があることや、自然が開発により壊されていることが述べられました。持続可能な社会の実現を目指すためには、自然に対する意識を育むことが非常に大切なことであり、今後園館が学習拠点としての役割を担うことができないかという話がありました。その背景には子どもの自然体験の機会が減少しており、小学生の半数が昆虫を触ったことがないという調査もあるようです。地域によっては12歳まで、土に触らなくても生活できるような環境が用意されており、自然体験の機会消失は今後ますます増加するだろうとのことでした。

 

 
 
特に考えさせられたのが、「現在、教育過程で取り入れられている教材が本当に持続可能な社会の実現を啓発する内容になっているのか」という問いかけでした。私自身、〈ミニトマトを育てる〉、〈どんぐりで工作する〉、〈朝顔を育てて観察日記をつける〉、〈昆虫採集をする〉、〈ザリガニを捕まえて飼育する〉などといった現在教育現場で実践される取り組みを過去に経験しております。そしてそのような取り組みは当たり前にいいことだと思っていましたし、自分自身が経験して、「命の大切さを知った」と漠然と思っていました。ところが、「変な自然観を持っていませんか」と言われてドキリとしました。「農作物は人が手を加えないとだめ」「自然資源は自由に利用してよい」「生き物は自由に捕って飼ってよい」といったような間違った自然観を持つ可能性について言及されたとき、心のどこかでそう考えていることはなかっただろうかと思ったのです。講演では日本の不十分な自然体験とおっしゃっていましたが、持続可能な社会の実現には、自然に対する考え方や自然との関わり方を社会全体で改める必要があるのだと考えさせられました。
さて講演も終わり、一旦昼休憩を挟みますが、その間に生徒は発表練習です。ここでも、アドバイザーの皆様にご指導いただきました。発表練習をしますが、いくつか修正点が出てきます。「…緊張します…ふぅ」と生徒のつぶやきが聞こえます。

 
 
 さて、午後の口頭発表も終わり、いよいよポスター発表です。オンライン上でのポスター発表という方法にピンときていなかったのですが、Zoomのブレイクアウトルームを使用して各部屋を訪問し、部屋に待機している発表者の説明を聞く方法を取るということでした。第一著者が本校の生徒でしたので、ポスターを見に来てくれた参加者に研究内容を説明します。どんな質問がきても、また複数同時に質問がきても対応できるように生徒全員がPC前に待機します。準備万端です。

 
 
スローロリスを題材とした教育教材の評価:高校生を対象とした調査 ←※研究発表ポスターはこちらからご確認いただけます。
そうは言うものの、「本当に発表を聞きに来てくれる人はいるのだろうか」と心配していましたが、杞憂に終わりました。入室人数は40名を超え、多いときには50名が同時に参加してくれました。生徒たちは(私たち教員も心の中では)驚きを隠せません。もちろん質問も飛んできます。口頭でもチャットでも、生徒たちが一生懸命に対応します。本校の生徒だけで答えられない質問も、北野高校の生徒とオンライン上で協力しながら質問に回答していきます。

 
 
質問の中には、「高校生がなぜこのような発表をすることになったのか?」という質問も当然ありました。「京都大学との高大連携の取り組みの一環である」といった内容を説明すると、すばらしい取り組みだと褒めていただきました。改めて、生徒一同このような貴重な機会を与えていただけた幸運を噛みしめることとなりました。
あっという間に発表時間の40分が経ち、無事発表を終えることができました。「緊張した~」、「疲れた~」、「うまくできたと思う」など生徒の感想は様々でしたが、初めての学会発表にしては、うまく出来ていたのではないでしょうか。3月にはプリマーテス研究会があります。今回の経験を活かして、次回はさらによい発表にしてもらえたらと思います。生徒の発表は本日で終了し、次の日、1/30(日)は各自家庭から参加します。
本日もジュニアアドバイザーの皆さんを始めとした京都大学霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院野生動物学初歩実習関係者の皆様、京都市動物園職員の皆様に大変お世話になりました。有り難うございました。今後も宜しくお願い申し上げます。