「野生動物学初歩実習」活動報告⑩

2022/2/03

 1/29(土)に引き続き、1/30(日)も、第 62回日本動物園水族館教育研究会(web大会)が開催されました。生徒の発表は無かったため、各自家庭から参加します。発表は無かったのですが、その分他の発表者の研究をしっかり聞くことができました。興味深かった取り組みをいくつか紹介します。
 

まず、京都市動物園の発表です。実は動物園実習をしている時に、私自身気になっていた展示に関する発表でした(気になって撮影していた写真を載せます)。また、SNSや郵送を利用して、テナガザルへの理解を深めようとする教育プログラムであるという点も生徒たちの研究テーマと近く興味を持ちました。SNSを利用することのメリットや可能性を感じることができた内容でした。園内での職員の皆様の様子を拝見することやお話を伺うこともありますので、「園のお仕事に加えて、様々な企画を考え、精力的に取り組まれているのだな」と驚きました。(そのようなお仕事に加えて、生徒たちの研究リクエストにまで応えていただいて…。本当にありがとうございます。プリ研での発表を良いものにします。)

 

 次に、動物園での活動を、教科実践とリンクさせた授業事例の発表です。動物園で職員の方に動物や仕事について説明してもらう講座や園館バックヤードツアーは教育現場からの要望が非常に多いそうですが、その内容が学校での実践に結びつかないことが多々あるようです。園館での体験を教育現場に落とし込んだ有意義な活動だったように思います。今後は教科コンテンツの枠を超えて有機的に結びつくような教育活動の実践がますます求められるようになるのだろうなと感じました。

 

最後は、高校の生物部のヤマネコの観察についての発表です。この学校の生物部は野生のヤマネコを観察するための3泊4日の合宿を実施したそうです。京都市動物園のやまねこ博覧会で発表することを目標に、対馬に足を運んで野生のヤマネコを観察し、絶滅危惧種の保護活動に対する理解を深める取り組みを行ったとのことでした。高校独自でこのような実践的な取り組みをしていることに、また、SNSを使った啓発やネットサービスを使った収益モデル作りの可能性など、研究の後どのように繋げていくかという部分まで考えていることに感銘を受けました。

 

前日のポスター発表の時間には、中学校と動物園が企画した探究型教育プログラムの発表がありました。会場からの反応もよく、興味深い内容だったと思います。SDGsは近年教育場面においてもトレンドであり、どの学校も持続的な社会の実現を担う若者への教育について、様々な取り組みを考えています。また、次年度より高校では新過程教育が始まりますが、目玉の一つに探究的な学習の時間が設定されたことがあります。このような実践的な取り組みの機会を今後どの学校でも用意していかなければならない中、新たな取り組みをいち早く模索していることに感銘を受けました。基調講演にもあったように、持続的な社会の実現に向けた教育を一過性のものではなく、将来を見据えて「子どもたちにどのような力を身に付けてもらいたいのか」ということを意識しながら、今後もがんばろうと思いました。
本校の京都大学様との高大連携プロジェクトは2015年度から始まり、今年度で7回目を迎えます。これまでもそうでしたが、今年度についても、1年間を通してほぼ毎週、生徒に直接ご指導いただいております。本校の卒業生(卒業生の彼女は自身の研究を進めるために現在オーストリアの大学で研究員をしています)が繋いでくれた縁ですが、それは当たり前のことでは無く、多くの幸運に恵まれ様々な人に支えられてこのような貴重な機会を得ることができているのだと何度も実感した日でした。
ジュニアアドバイザーの皆さんを始めとした京都大学霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院野生動物学初歩実習関係者の皆様、京都市動物園職員の皆様に改めて御礼申し上げます。有り難うございました。今後も宜しくお願い申し上げます。

 

京都大学霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院
高大連携プロジェクト「野生動物学初歩実習」HP
https://www.wildlife-science.org/ja/self-planning/2015kyotozoo.html