2/24(木)に次年度野生動物学初歩実習の案内がありました。ジュニアアドバイザーお二人に来校いただき、約1時間の講演という形で募集を行っていただきました。
事前に募集についてのポスターまで作成いただいておりました。教室掲示していましたが、私のクラスの生徒たちも「どうする?」などと話をしながら、今日の講演を楽しみにしていました。実は今回ジュニアアドバイザーのお二人には、「実習についての説明以外に、ご自身の研究テーマや野生動物学実習に関わろうとしたきっかけなどを、生徒に話してほしい」と依頼をしておりました。無茶な依頼に関わらずご快諾いただき、お一人20分程度の講演をしていただけることになりました。非常に楽しくお話いただき(講演は初めてとのことでしたが、お二人とも話が本当に上手なのです)、生徒たちにとって非常に有意義な時間となりました。
まず、文学部で心理学を研究していらっしゃる池田さんのお話をうかがいました。実は事前案内のポスターを確認していた生徒たちの中で「なんで、文学部なのに野生動物の研究をしているの?」という質問が沢山出ていました。まさにその質問への回答をしていただけた講演でした。京都大学の文学部の中には行動環境文化学という専攻があり、そこで比較認知科学をベースにした研究しているので、今回の実習にアドバイザーとして参加しているのだと説明がありました。「ヒトを含めた動物の〈こころ〉という目に見えないものを〈視覚化する〉研究だ」という説明に、生徒も強い興味を感じたようです。霊長類とヒトを比較することで、分化しても共通して残っている性質と、分化することによってヒト特有となった性質があり、そういった点に注目することで、ヒトを深く理解したいという思いがあるそうです。また、同じ動物でも地域によって異なる〈文化〉を持っているという話もしていただきました。「文系・理系ということにとらわれず、自分が何をしたいのかという思いを大切にしてください。大学はやりたいことができます」という言葉には生徒たちも勇気づけられたと思います。
次に、法学部に所属していらっしゃる池山さんのお話をうかがいました。最初にいわゆるトロッコ問題が提示され、生徒に「自分ならどちらを選ぶか手を挙げてください」と質問が投げかけられました。生徒からは「助かる人は多くても、自分の意志で犠牲を出してしまったという事実が残る」などよい意見も出てきます。(発表した生徒には京大オリジナルクリアファイルのプレゼントまでいただきました!)双方の意見に正しい部分があって決着がつきにくい問題や裁く人によって結果が変化してしまうような問題。〈法〉はそういった問題に対して解決の指針を出すことができるものだと説明がありました。身の回りには沢山の〈法〉があることや校則が法律では無い理由など、生徒身近に落とし込んだ内容を提示していただけたので、難しい話も非常に楽しく理解を深めることができました。池田さんご自身の興味である〈動物を助けるための法律〉についての話では、日本の法整備が海外に比べて遅れていることや動物を守ることと医学の進歩との葛藤など、生徒たちにとって新たな視点から話をしていただきました。「何が本当に正しいのか、自分の頭で考えて行動していくことが大切だ」というお話を生徒たちは噛みしめていると思います。
講演の後も、個別に生徒たちの質問に対応いただきました。生徒たちにとって大変貴重な機会になったと思います。早速「参加したい!」という声が放課後の廊下で聞こえてきました。私自身も楽しみです。
ジュニアアドバイザーのお二人には、お忙しい中にも関わらず講演いただき、誠に有り難うございました。今後も宜しくお願い申し上げます。