高校卒業式を挙行しました。

2022/3/02

3月1日(火)10時より、本校体育館におきまして高等学校第74回卒業式をおこないました。
446名が巣立ちました。

学校長告辞

「葛藤保持力」という言葉を聞いたことはありますか。
心理学者の河合隼雄先生は、大人の条件に必要なこととして、「葛藤保持力」を挙げておられます。
「葛藤保持力」とは、迷いを持ちこたえる力のことで、真剣に悩んだり迷ったりすることが、大人として大事であるのだといわれています。
悩んだり迷ったりすることはよくあること。
悩みや迷いがあるのが、問題なのではなく、問題があるのにちゃんと悩んだり、迷ったりしないことが問題であるといわれています。

人生百年時代。君たちには、あと五分の四以上残っています。
人生設計の答えは一つとは限りません。
悩んだ先にはきっといいことが待っています。
若い君たちには可能性がたくさんあり、一つが駄目でも他の道がいっぱいあります。

「俺の人生、私の人生、あっちじゃないのか。こっちじゃないのか」と目標が定まれば迷うことはなくなります。
そうした時、心穏やかになり、穏やかになると安定感が生まれ、周囲を慮る余裕ができてきます。
それができると人生で大切なものを得ることができます。
君たち自身が成長することは、貢献というかたちで、自分以外の人に意識をむけることによってひろがります。自らの貢献を問うことは、自分の可能性を追求することでもあるのです。
今、自分ができることは何かを考えてください。
更に、貢献できる範囲を広げるために、得意分野や自分の強みをどのように磨けば良いのかを考えてください。
このような思考回路が開けば、君たちの可能性は無限大となります。

「貢献」という言葉は、自分から他人に何かを提供することを意味する言葉です。
それは自分が成長していくためには欠かせない考え方でもあります。
「ギブ」&「テイク」という言葉がありますよね。
貢献というギブは、自己成長というテイク、ギフトを君たちにもたらすことになるのです。
自分を成長させるために、自分の可能性を追求してください。
自分ができることは何かを考える。得意分野や自分の強みをどのように磨けば良いのかを考える。そして、実践してください。君たちの可能性は無限大です。

最後に、今年創立120周年を迎える本校の前身関西商工学校で学ばれた松下幸之助氏の著書『道をひらく』から「勤勉の徳」を読みあげ祝辞とします。

天災地変をまつまでもなく、粒々辛苦の巨万の富も、事あらば一朝にして失われてしまうことがしばしばある。形あるものいつかは滅びるにしても、誠にはかない姿であるといえよう。
だがしかし、身についた技とか習性とかは、これは生あるかぎり失われはしない。
たよりになるのは、やはり自分の身についた技、身についた習性。
だから、何か一つでもいいから、よき技、よき習性を身につけたいものである。
なかでもいわゆる勤勉の習性は、何にもまして尊いものに思われる。
勤勉は喜びを生み、信用を生み、そして富を生む。
人間のいわば一つの大事な徳である。徳であるかぎり、これを積むには不断の努力がいる。
相撲に強くなるためには、不断に真剣な稽古を積まねばならないように、勤勉の習性を身につけるためには、まず日々を勤勉につとめる努力がいるのである。その努力が重なって勤勉の習性が身につき、その習性からはじめて徳が生まれてくる。
お互いに勤勉の徳を積みたいものである。

卒業生の皆さんは、人格形成のまっただ中にいます。
人としてどう生きるべきか。どうあるべきか。
どんな環境でもくじけること無く、自己研鑽をつみ、グローカルに貢献すべく、これからの人生を歩んでください。

以上、第七十四回関西大倉高等学校卒業式式辞とさせていただきます。
四四六名の卒業生の皆さん、卒業おめでとう。

二○二二年(令和四)年三月一日
   関西大倉高等学校
 学校長 古 川 英 明

 

高校PTA会長 石谷 宏様より、「お祝いのお言葉」を頂戴しました。

「446名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
そして、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。

卒業生の皆さんは今、関西大倉高等学校の3年間を振り返っておられることと思います。
本来ならば多くの行事を振り返り、楽しかったこと、頑張ったこと等の思い出に浸るところでしょう。

しかし、2年前からの新型コロナウイルス感染拡大により、予想だにしない世の中になってしまいました。
学校生活はもちろん、クラブ活動自粛、文化祭・体育祭、修学旅行等の縮小により、
本来であれば華々しい活躍をし、友達と自由に大きな声で笑い、共に語り合うはずだったのが、
行動を制限され、誰にもどこにもぶつけることができない感情と不安が募り、
苦しく辛い思いをしたこともあったのではないか、と思うと心が痛みます。

ただ、そんな前例のない手探りの中で、新しい取り組みや、自分連なりに創意工夫した活動を実践し、

自らの手で前例を作り出した瞬間が、きっと皆さん一人一人にあったはずです。
それを、思い出してみてください。
その経験は、皆さんの今後の人生に必ずプラスになる、何物にも代えがたいものとなるはずです。
どうかそれを忘れないでください。

高校生活3年間の経験を土台として、新たなステージで光り輝くために、
まずは、当たり前に流れていく日々の生活に感謝し、
このような世の中だからこそ、なおさら大きな夢を持ち、
そして、夢を決意に変えて、自分の未来に向かって突き進んでください。
すべては、自分次第です。頑張ってください。

最後に、これまでご指導いただきました校長先生をはじめとする教職員の皆様、
3年間ありがとうございました。
特に、卒業生をご担当いただきました先生方、クラブ活動の先生方、
卒業生がこのようにたくましく成長できましたのも、先生方のご指導のおかげです。
PTA代表として、心より感謝とお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。

以上をもちまして私からのお祝いの言葉とさせていただきます。

本日はご卒業おめでとうございます。

令和4年3月1日 

PTA会長 石谷 宏