「空に絵を描きたい」
ふざけた夢物語のような言葉から、この作品は始まりました。
高校1年15組のクラス制作「空中アート」。
夏休み中から実験を重ね、設計図を作り、2学期の開始と同時に本格的な作業がスタートしました。
ネットの交差部分に1つ1つ点を打ち、色をつけていく作業。
14枚のネットを縫い合わせて、1枚の大きなネットに仕上げる作業。
ド派手な夢とは裏腹に、実際の作業はとても地味で単調なものでした。
そもそも、空に絵を描く方法なんて誰も知りませんから、ゴールに近づいているのかどうかさえわかりません。まるで出口の見えない暗いトンネルを進んでいるようでした。
終わりの見えない作業に、不安や苛立ちが募る日もありました。
結局、文化祭での展示には間に合わず、惨めな思いもしました。
それでも諦めずにやり切ると覚悟を決めた生徒たちが、文化祭が終わった後も制作を続けました。
冬の寒空の下で色塗りをした日々。
後ろ指をさされながら作業をした日。
長く苦しい道のりでしたが、
多くの方々に応援していただき、
ついに作品が完成しました。
できあがったネットの大きさは、約20m×15m。
色をつけた点の数は、137万個以上。
3月29日。
大きなクジラが、空を泳ぎました。